「子どもにプログラミングを学ばせたいけど、何から始めればいいの?」
そんなときに候補になるのが、無料で使えるプログラミング学習環境「Scratch(スクラッチ)」です。
Scratchは、難しいプログラミングコードをキーボードで入力するのではなく、ブロックを組み合わせてプログラムを作ります。
そのため、プログラミングが初めての子どもでも取り組みやすく、ゲームやアニメーションなどを実際に作りながらプログラミングの考え方を学べます。
では、Scratchは子どものプログラミング学習に本当におすすめなのでしょうか?
この記事では、Scratchのメリット・デメリットや、Scratchで身につくこと、Scratchを始めた後の学習方法について、初心者向けにわかりやすく解説します。
Scratchは子どものプログラミング学習におすすめ?
結論からいうと、Scratchは子どもがプログラミングに触れる最初の一歩として使いやすい学習環境です。
Scratchでは、ブロックを組み合わせることで、キャラクターを動かしたり、音を鳴らしたり、ゲームを作ったりできます。
Scratch Foundationも、Scratchを使ってゲーム・アニメーション・デジタルストーリーなどを作れることや、問題を小さく分解して考えること、プログラムの間違いを見つけて修正することなどを学べると説明しています。
つまり、Scratchの目的は単に「プログラミングのコードを覚える」ことではありません。
自分で考えて、作って、動かして、失敗して、修正する。
このような経験を通して、プログラミングの基本的な考え方を身につけていくことがScratchの大きな特徴です。
Scratchとは?
Scratchは、ブロックを組み合わせてプログラムを作ることができるビジュアルプログラミング環境です。
例えば、
- キャラクターを10歩動かす
- 画面上でキャラクターをジャンプさせる
- ボタンを押したら音を鳴らす
- 敵に触れたらゲームオーバーにする
- 得点を増やす
- キャラクターをランダムに動かす
といった処理を、ブロックを組み合わせて作れます。
一般的なプログラミングでは、
if score >= 10:
game_clear()
のようなコードを書く必要があります。
Scratchでは、これに相当する処理をブロックとして組み合わせるため、プログラムの構造を視覚的に理解しやすくなっています。
また、Scratchではゲームだけでなく、アニメーションや物語など、さまざまな作品を作ることができます。
Scratchのメリット
1.プログラミング初心者でも始めやすい
Scratchの大きなメリットは、プログラムの入力でつまずきにくいことです。
一般的なプログラミング言語では、
- 英単語を覚える
- 記号を入力する
- スペルを間違えない
- 括弧や記号の位置を確認する
といった作業も必要になります。
プログラミングを始めたばかりの子どもにとって、こうした部分は意外と大きな壁になります。
Scratchでは、ブロックをドラッグして組み合わせるため、細かな文法を覚える前に「プログラムとはどういうものなのか」を体験できます。
2.ゲームを作りながら学べる
Scratchでは、自分でゲームを作ることができます。
例えば、
「猫が画面上を動いて、リンゴを取ったら得点が増えるゲーム」
を作ることもできます。
ゲームを作るためには、
- キーボード入力
- キャラクターの移動
- 条件分岐
- 繰り返し
- 変数
- 当たり判定
- タイマー
など、さまざまなプログラミングの考え方を使います。
しかも、
「条件分岐を勉強しましょう」
と教科書から覚えるのではなく、
「リンゴに触れたらスコアを1増やしたい」
という目的から条件分岐を使うことになります。
「何のために使うのか」が分かりやすいのは、Scratchの面白いところです。
こちらの記事で Scratch のゲームの作り方を解説しています。
3.試行錯誤しながら学べる
プログラミングでは、最初から思った通りに動くとは限りません。
例えば、
「キャラクターが壁をすり抜けてしまう」
「得点が2点ずつ増えてしまう」
「ゲームオーバーにならない」
といった問題が起こることがあります。
そこで、
- プログラムを確認する
- 原因を考える
- ブロックを変更する
- もう一度動かしてみる
という作業を繰り返します。
これはプログラミングにおけるデバッグの基本的な考え方です。
Scratch Foundationも、Scratchで問題を分解し、デバッグしながら解決策を試すことを学べるとしています。
4.「自分で作る」経験ができる
Scratchでは、用意された問題を解くだけではなく、自分で作品を作れます。
例えば、
- ゲーム
- アニメーション
- クイズ
- シミュレーション
- デジタル絵本
- インタラクティブな物語
などです。
そのため、
「正解を出す」
だけではなく、
「自分なら何を作りたいか?」
を考えることができます。
Scratch Foundationも、Scratchを創造的なコーディングや自己表現、協働的な学習などに活用しています。
5.無料で始められる
Scratchは無料で利用できます。
そのため、最初から高額な教材やプログラミング教室に申し込まなくても、まず家庭で試すことができます。
「子どもがプログラミングに興味を持つか分からない」という場合にも、始めるハードルを下げやすいでしょう。
まずScratchを触ってみて、
「もっとゲームを作りたい!」
となってから、次の学習方法を考えることもできます。
Scratchのデメリット
ここまでScratchのメリットを紹介しましたが、もちろん万能な学習環境というわけではありません。
1.実際のプログラミング言語とは違う
Scratchはプログラミングの考え方を学ぶのに適していますが、PythonやJavaScriptなどの一般的なプログラミング言語そのものを使っているわけではありません。
そのため、
「Scratchができるようになった=Pythonもすぐ書ける」
というわけではありません。
Scratchから本格的なプログラミングへ進む場合は、別途Pythonなどのプログラミング言語を学ぶ必要があります。
ただし、Scratchで身につけた
- 順番に処理する
- 条件によって処理を変える
- 繰り返す
- 変数を使う
- 問題を小さく分ける
といった考え方は、その後のプログラミング学習にもつながります。
2.Scratchだけではできることに限界がある
Scratchはゲームやアニメーションなどを作るには便利ですが、一般的なソフトウェア開発で使われるプログラミング言語と比べると、できることには違いがあります。
例えば、
- 本格的なWebサービスを作る
- 複雑なアプリを開発する
- サーバー側のプログラムを作る
- 大規模なシステムを開発する
といったことを目的にするなら、Scratchだけでは十分ではありません。
Scratchは、本格的な開発環境というより、プログラミングの考え方を学ぶための入口として考えると分かりやすいでしょう。
3.子どもによって向き不向きがある
Scratchは初心者向けですが、すべての子どもがScratchを好きになるとは限りません。
例えば、
「ゲームを作るのが楽しい!」
という子どももいれば、
「ブロックを組み合わせるより、普通のゲームで遊びたい」
という子どももいるでしょう。
また、絵を描くことが好きな子、物語を作ることが好きな子、仕組みを考えることが好きな子など、興味の方向もそれぞれ違います。
そのため、
「プログラミング教育だから、とにかくScratchをやらせる」
というより、子どもが何に興味を持っているのかを見ながら取り組むことが大切です。
Scratchは何歳くらいから始められる?
Scratchを始める年齢は、子どもの興味やパソコン操作への慣れによっても変わります。
Scratchには子ども向けのビジュアルプログラミング環境として設計されており、Scratch Foundationは若い学習者が創造的にコーディングを学ぶための環境としてScratchを提供しています。
ただし、
「○歳なら必ずScratchができる」
と考える必要はありません。
マウス操作やキーボード操作に慣れているか、文字を読めるか、自分でゲームを作ってみたいと思っているかなどによって、取り組みやすさは変わります。
低年齢の子どもなら、保護者が一緒に操作してあげるのもよいでしょう。
Scratchは親が教えないとできない?
必ずしも親がプログラミングを教える必要はありません。
Scratchは、子どもが自分で試しながら作品を作れるように設計されています。
ただし、最初のうちは、
「このブロックを使うと何が起きるんだろう?」
というところで止まることもあります。
そんなときは、答えをすぐに教えるより、
「このブロックを動かしたらどうなるかな?」
「リンゴに触れたときだけ動かすにはどうしたらいいかな?」
と質問してあげる方が、子ども自身が考えるきっかけになります。
親がプログラミングの先生になる必要はありません。
一緒に考える人になるだけでも十分です。
Scratchはプログラミング教室に通わなくてもできる?
Scratchは自宅でも取り組めるため、最初からプログラミング教室に通う必要があるとは限りません。
まずは家庭でScratchを触ってみて、
- 子どもが楽しんでいる
- 自分から作品を作ろうとしている
- もっと難しいことをやりたがっている
という状態になったら、次の学習方法を検討してもよいでしょう。
逆に、家庭だけではなかなか続かない場合や、体系的に教えてほしい場合は、プログラミング教室などを利用する方法もあります。
つまり、
Scratchを始めることと、プログラミング教室に通うことは別の話です。
まず無料でScratchを試してみて、子どもの反応を見てから考える方法もあります。
Scratchで何を作ればいい?
Scratchを始めたら、最初から難しいゲームを作る必要はありません。
例えば、
レベル1:キャラクターを動かす
「10歩動かす」などの簡単なプログラムを作ります。
レベル2:キーでキャラクターを動かす
矢印キーを押すとキャラクターが動くようにします。
レベル3:ゲームを作る
敵やアイテムを追加して、簡単なゲームを作ります。
レベル4:自分で改造する
- 敵を増やす
- 制限時間を付ける
- スコアを追加する
- 難易度を上げる
- キャラクターを変更する
など、自分でルールを変更していきます。
この「改造」が意外と重要です。
他人が作ったものをそのまま使うだけではなく、
「ここを変えたらどうなる?」
と試していくことで、プログラムの仕組みを理解しやすくなります。
Scratchをやった後は何を学べばいい?
Scratchを楽しめるようになったら、その先にはいくつかの道があります。
Pythonへ進む
「プログラミングそのものをもっと学びたい」という場合は、Pythonなどのテキストベースのプログラミング言語に進む方法があります。
Scratchで学んだ、
- 条件分岐
- 繰り返し
- 変数
- イベント
- アルゴリズム
などの考え方を、今度はコードで表現していきます。
Robloxへ進む
ゲーム制作に興味があるなら、Robloxに進む方法もあります。
Robloxではゲームを遊ぶだけでなく、自分でゲームを制作することもできます。
Scratchでゲーム制作を経験した子どもなら、
「自分でゲームを作る」
という考え方を、さらに発展させるきっかけになるでしょう。
ScratchとRobloxには、それぞれ特徴があります。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
AI・機械学習へ進む
さらに興味があれば、AIや機械学習につながる学習へ進むこともできます。
ただし、いきなりAIの難しい数学やプログラミングを学ぶ必要はありません。
まずは、
Scratchで「プログラムを作る」
↓
Pythonで「コードを書く」
↓
AI・機械学習を学ぶ
というように、段階的に進む方法もあります。
Scratchは「プログラミングの入口」と考えると分かりやすい
Scratchには、
「Scratchをやれば、そのままプロのプログラマーになれる」
というような魔法の効果があるわけではありません。
一方で、
「プログラミングって何をしているんだろう?」
という疑問を、実際に作品を作りながら体験できるのは大きなメリットです。
プログラミングを学ぶとき、最初からコードの文法を大量に覚えようとすると、子どもによっては「難しい勉強」と感じてしまうことがあります。
Scratchなら、
「キャラクターを動かしたい」
↓
「このブロックを使ってみよう」
↓
「動いた!」
↓
「じゃあ敵も動かしてみよう」
という形で、「作りたいもの」からプログラミングに入ることができます。
これはScratchの大きな魅力です。
まとめ:Scratchは子どものプログラミング学習におすすめ?
Scratchは、子どもがプログラミングに触れる最初の一歩として利用しやすい環境です。
特に、
- プログラミングが初めて
- ゲームやアニメーションが好き
- 自分で作品を作るのが好き
- 試行錯誤することを楽しめる
という子どもには、取り組みやすいでしょう。
一方で、Scratchだけで本格的なプログラミング開発まで学べるわけではありません。
そのため、
Scratchでプログラミングの考え方を学ぶ
↓
ゲーム制作や作品作りを楽しむ
↓
興味に合わせてRoblox・Python・AIなどへ進む
という使い方がおすすめです。
何より大切なのは、最初から「将来役立つから勉強させる」と考えすぎないことです。
子ども自身が、
「これを作ってみたい!」
と思えること。
その「作ってみたい」という気持ちが、プログラミングを学ぶきっかけになります。
Scratchは、そのきっかけを作りやすいプログラミング環境の一つです。

